この記事では「自閉症の子が美容院や自宅でスムーズに散髪を行うための方法」をお伝えします!
自閉症のハチは美容院に行くことが不可能なほど散髪を嫌がっていました。
嫌がり大泣きをし、じっと座っていられない為、美容院に行くのはこのような状態では無理だと思い、生まれてからずっと母親の私が家で散髪をしていました。家での散髪も落ち着いてできる訳はなく、ハチも私も散々な思いをしながら散髪をしていました。(散髪の後は2人ともしばらく絶縁状態になっていました笑)
家で散髪をすることに限界を感じてきたのと、「将来大人になった時に一人で美容院に行けるようになっておいたほうがよい」ということを本で目にした為、散髪について通っている療育園に相談をしました!
療育園の先生方の専門的なアドバイスを受けながら、色々なことに取り組み散髪をした結果、見違える程落ち着いて散髪ができるようになりました!その後、落ち着いて美容室でも散髪をすることができました!(やはり発達障害の対応のプロはすごいですね!)
この記事では、発達障害の子の散髪がスムーズにできず悩んでいる方へ「スムーズに散髪を行う方法」をお伝えします!実際にハチが取り組んだことの全てをお伝えすることで、散髪で困っている方の力に少しでもなれたら幸いです!
自閉症の散髪をスムーズに行うまでの流れ
まずは散髪を嫌がる要因をみつける
まず始めに、「なぜ散髪を嫌がるのか」考えられる要因を全て挙げてみます⬇
ハチが散髪を嫌がる要因
①バリカンの音が怖い、そもそもバリカンがどんな物なのかも分かっておらず、音からしてバリカンは痛いかもしれないと思い込んでいる。
②髪の毛が肌につくことが気持ち悪く不快。
③散髪中に何をされているのかが目で見えないため、不安。
④いつまで我慢すればよいのか終わりの見通しが持てていない。
このように、考えてみると結構な数の嫌がる要因があることが分かりました!また、自閉症の特性である感覚過敏や、見通しがもてない創造力の欠如のところが散髪を嫌がる要因に大きく影響していました。その為、この要因についてはハチだけではなく、自閉症で散髪を嫌がる子にも同じように当てはまる場合が多いと思います。
息子の自閉症の特性については、こちらのページで詳しく紹介しています
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散髪を嫌がる要因を軽減する対策
続いて上記の嫌がる要因について、それぞれの対策を考えていきます!
①「バリカンの音が怖い」「バリカンがどんな物か分からず痛いかもしれないと思い込んでいる」ことへの対策
実際にバリカンを見せて、バリカンの音を聞かせてバリカンについて説明しました。(家にはバリカンがない場合は、電動シェーバーやひげ剃りで説明してもよいです。うちでは私の使用している電動シェーバーで説明しました!)
バリカンの説明では以下の2点を伝えました⬇
バリカンの説明
- バリカンは髪の毛を切るために使用します
- バリカンは大きな音が出ますが、痛みはありません
自閉症の場合、話し言葉で伝えるよりも視覚的に伝える方が伝わりやすい為、説明の際には口頭説明にプラスして、文字が読める場合には文字で説明を書いたものを用意した方が伝わりやすいです!
また、実際にバリカンを使っているYouTubeなどの動画を見せて、バリカンを理解させるのもとてもよいと思います!
②「髪の毛が肌につくことが不快」についての対策
子供用散髪ケープを使用することで解決しました!今までうちではケープの片付けが面倒くさく思っていたため、風呂場で全裸になって散髪していました!笑
ケープについた髪の毛を集めるのが面倒な為、私はポケット付きの方を購入しました⬇
これがすごーく便利で、片付けが格段に楽になりました!
③「散髪中に何をされているのか目で見えないため不安」についての対策
散髪をしている動画を見せることで、散髪へのイメージを持たせました。
また、後ろや横の髪を切っているときには切っている様子が見えず不安に感じているようだった為、以下のような手順書を作成し部分毎に髪を切る練習を行いました。⬇
③「散髪中に何をされているのか目で見えないため不安」についての対策
散髪をしている動画を見せることで、散髪へのイメージを持たせました。
また、後ろや横の髪を切っているときには切っている様子が見えず不安に感じているようだった為、以下のような手順書を作成し部分毎に髪を切る練習を行いました。⬇
「横、前髪、後ろ、バリカン」に切る場所を分け、「今日は前髪だけ切るよ!」という感じで、慣れるまでは切る場所を明確にしスモールステップで散髪を行いました。これは効果抜群で、スモールステップで頑張れた経験を積むことで大きな自信に繋がったようでした。
手順書を紹介していますが、手順書の準備が難しい場合も多いと思いますので、その場合は手順書はなしで口頭での説明で進めてもらって大丈夫です。(ここにアップしている画像を使用してもらってもOKです!)状況に応じて、取り組めそうな取り組みのみ取り入れてみてください♪日々の育児でお忙しいと思いますので、無理をされないで下さいね!
※具体的な取り組みの手順は後ほど紹介しています。
④「いつまで我慢すればよいのか終わりの見通しがもてていない。」ことへの対策
見通しをもたせることは散髪をスムーズに行う上で一番大切なポイントになると思います!大人でも、嫌なことがいつまで続くのか分からないと不安になると思いますが、自閉症の子は想像力の欠如の特性がある為、不安を感じやすいです。
散髪の終わりをはっきりさせる為に、「長い針が6に来たら散髪終わりね!」という感じで、時計を使って終わりの時間を明確にしました。(時計が読める子は「何時何分になったら終わり」と伝えてもよいと思います。)
散髪の終わり時間については、確実に切り終えることができるように長めに設定しておきましょう。設定時刻よりも早く切り終えた場合は、頑張ったから予定よりも早く終わることができたよ!」といった感じでぜひ褒めてあげて下さい。
この終わりを伝えると言うことは、簡単に取り組めて効果が大きい為、ぜひ取り入れて見て下さい♪
対策に取り組んでも散髪を嫌がる場合は無理をさせない
①~④の対策を実施できるところまでしても、家庭での散髪を嫌がってしまう場合は、最終手段として「あと10数える間だけ切るね。」と伝え、ゆっくり10数える間にできる限り髪を整えて散髪を終わりにして下さい。
嫌がるのに長時間続けると散髪に嫌なイメージがついてしまい、ますます散髪が嫌になってしまいます。無理をさせずにスモールステップで進めていくことが大切です。
対策を盛り込んだ散髪の練習の流れ
先程お伝えした対策を入れ込んで「ハチがスムーズに家庭で散髪を行い、美容室へ行くまで」どのような手順で進めたのか、活動の流れをお伝えします!
①家庭で《前髪、横、後ろ》の部分毎に切る練習を行った
美容院に行く為のステップとして、しばらく家庭で散髪の練習を行いました。その際にいきなり全体を切るのでは無く、《前髪、横、後ろ》の部分毎に分け「今日は前髪のみ切るね。」といった感じで、散髪するパーツを決めて髪を切りました。今日は前髪、また後日横の髪、といった感じで進めます。髪全体を切るのは時間もかかるけれど、前髪だけというようにパーツを決めることによって、散髪をする時間も短くなるので、我慢して取り組みやすくなります。短時間なので落ち着いて散髪しやすくなり「頑張って髪を切れた!」という成功経験を重ねることによって、散髪を落ち着いてできるという自信に繋がります。
練習の際にはこのような絵カードを使用しました!⬇
※この絵カードは一つ動作が終わる毎にカードを剥がし、下のポケットに入れる仕様になっています。
また、散髪の際には「時計の長い針が6に行くまで我慢してね。」といった感じで終わりの目安時間を必ず伝えるようにしました。
最後に散髪を頑張ったご褒美を設定します。ハチの場合には「アイス」に最近はまっていたためアイスをご褒美にしました。散髪の後のご褒美のアイスを楽しみに頑張っていました。
これらのポイントを踏まえて散髪の行ったところ、別人のように落ち着いて散髪に取り組めていました!自閉症の特性に合わせた取り組みの大切さを改めて実感しました。
《前髪、横、後ろ》の散髪の練習が終わったら次はバリカンのみの練習に移ります!
②バリカンのみでの散髪の練習
まずは、バリカンについての説明を行った上で(説明方法は先程お伝えしたバリカンの対策の所に書いています。)バリカンで髪を切っているYouTube動画を見せて、バリカンのイメージを持たせます。
その上で、バリカン単独での散髪の練習をします。(ここではバリカンへの恐怖心を取り除き成功経験を積むことを目的としているため、がっつりバリカンで髪は切らなくて大丈夫です。)うちでは家にバリカンがなかった為、安全な私のシェーバーをうなじあたりに軽く当てるような練習を行いました。
③家で通しで散髪をする
上記の用紙を使用し、全体の髪を切る説明を行いました。
説明後、髪全体を散髪します。全体の散髪の際にも忘れずに終了目安の時間を伝えます!
ハチはこの頃にはたくさんの成功経験を積めたため、全く散髪を嫌がらなくなっていました!
④美容室で散髪
家でスムーズに髪全体の散髪ができるようになったら、いよいよ美容室で散髪をします!この時点で落ち着いて散髪できるようになっている為、美容室でやることは、以下の2点のみです。
ココがポイント
- 美容師さんから散髪の終了目安時間を案内してもらう。
- 美容院での散髪の後にご褒美を設定する。
(ちなみにハチの美容室後のご褒美は「干し柿」の希望でしたが手に入らず「醤油団子」にしました!なかなか渋いチョイスです。)
美容室でのハチの様子は、全く嫌がること無く、むしろ散髪を楽しんでいるようにも見えました!はさみでの散髪の後にバリカンを使用しても落ち着いて散髪できていました。家で散髪の際に大泣きをしていたのが想像つかないほど成長しました!
自閉症の散髪をスムーズに行う方法のまとめ
色々な取り組みを紹介してきましたが、保育者の方の負担にならないように、無理をされずチャレンジできそうなことのみ取り入れてみて下さいね!
落ち着いて散髪するためのステップのまとめ
- 散髪の際には髪が直接肌に付かないように、必ずケープを使用する。
- 散髪の終了目安時間を伝える。
- 散髪の後には頑張ったご褒美を設定する。
- 散髪をどうしても嫌がる時は無理をさせずに10数えて終わりにして無理をさせない。
- バリカンを使用する前にバリカンの説明を行い、バリカンを使用している動画を見せ恐怖心を取り除く。
- 散髪は《前髪、横、後ろ》とパーツ毎に成功経験を積み、その後通しの練習を行う
- 美容室でも終了目安時間の案内をしてもらう。ご褒美の設定も行う。
散髪が少しでもスムーズになることを願っています♪
最後までお読みいただき本当にありがとうございます!